33分探偵



2008年8月21日更新

出張先で、見たい番組が無くて、チャンネルサーチしていたら、突然、ド緊張顔で祝福されている花婿に目が留まりました。

「あっ!シゲだ!」

映っていたのは戸次重幸くん。

あの『水曜どうでしょう』の大泉洋もメンバーであるチームナックスの一員です。
(今更こんな説明いるのかな?)
慌ててカミさんに電話すると、
「『33分探偵』やろ!」
やはりと思ったが知っていやがった。
しばらく他のチャンネルもチラチラとチェックしていたので、およそ真剣には見ていませんでしたが、何だか昔見た様なテイストです。

探偵の推理はおよそ意味不明で突っ込みどころ満載なのに、誰も肝心な点には突っ込まない。
その内、変態じみた鑑識係が出てきて、更に小島よしお演じる情報屋が登場するに及んで疑問は確信に変わりました。

「あっ『フライングコップ (原題ポリス・スクワッド)』だ!」

『フライングコップ』とは映画『裸の銃を持つ男』のTV版で映画に先だって作られました。
製作チームはZAZ(デビッド・ザッカー、ジェリー・ザッカーのザッカー兄弟とジム・エイブラハム)の3人組。
彼等は映画『フライングハイ』や、『トップシークレット』、『ホットショット』等を製作し、コメディを得意にしていました。
後にメンバーのひとりジェリー・ザッカーが大ヒット映画『ゴースト』を製作しています。

さて、『フライングコップ』です。
主演は映画『裸の銃を持つ男』でも主役のフランク・ドレビン警部役を演じたレスリー・ニールセンです。
映画に劣らず、はちゃめちゃに面白かったこの番組、実は1クール持たずに打ち切りになりました。
その原因は、視聴率が稼げなかったから・・・・・・・・・

ではないのです。

TV番組ですから、当然視聴率は大事です。その点、『フライングコップ』は問題ない番組でした。
問題となったのは、本編のギャグが盛り沢山すぎて、視聴者が本編に夢中になってしまい、肝心のCMの視聴率が下がってしまった事でした。
CMの広告料に経営を委ねているTV局としては大問題だった訳です。

『フライングコップ』は後に『裸の銃を持つ男』として映画化されて大成功を納めますが、TV版には映画版にはない魅力がありました。

まずは番組オープニング。
出演者が次々に紹介されていきます。
レギュラー陣の後にゲスト出演者が紹介されます。
ところが、そのゲストスターが紹介されるや否やあっさりと殺されてしまうのです。
念の入った事に、番組中、その件に関するフォローは一切ありません。
つまり、今回のゲストは誰で、どうやって殺されるのだろうという訳です。
そんなオープニングに『スタートレック』のカーク船長役で有名なウィリアム・シャトナーが出演してきて、いきなり機関銃で打ち殺されるシーンがあり、なんて贅沢なゲスト起用だろうとビックリしました。

『フライングコップ』では、靴磨きの情報屋。

最初はフランク警部の後に情報を求めに来るのは普通の人だったのですが、次第にアドバイスを求めるゲストが豪華になり、当時現役の人気ニュースキャスターや、ロス・アンゼルス・ドジャースのラソーダ監督が出てきました。
しかも、その内容の辛辣な事と言ったら・・・
ファンや視聴者の生な感想をぶつけるのでゲストが困り果てる姿が笑えました。

33分探偵でも、パクっているエンディングの生ストップモーションも楽しみのひとつでした。

主演陣が事件解決に笑いながら、ストップモーションをするってやつですが、『フライングコップ』では、次第にエスカレートして行き、レギュラー陣以外は身動き自由となりました。
延々と電話のコードを引っ張りながら話す、フランク・ドレビン警部の相棒ノードバーグのせいで、机の資料から何からすっかりぐちゃぐちゃにして、部屋中がめちゃめちゃになったり(昔、広い部屋の中で電話のコードを引っ張りながら話しをしているのが、かっこよかった時代がありましたねぇ。)、動けぬレギュラー陣に作中登場した動物がいたずらしたりと、結構悪ふざけのシーンがあって笑えました。

移動シーンのチープなクロマキー合成もそっくり。

毎回怪しい研究ばかりしている鑑識係も登場します。
(33分探偵の鑑識係は毎回いかがわしい研究に余念がありませんが・・・)
その部屋はふたつに仕切られているのですが、この壁と扉も同じ造りです。

いささかパクり過ぎな様な気もしますが、そこは面白いので、許しましょう。

どうもこの作品を見ていると、製作者も『フライングコップ』の大ファンの様で、意外に安心して楽しめます。

肝心の33分探偵はと言うと、なかなかバカバカしくて面白い。
大体、5分で解決する筈の事件を、33分持たせるという設定が本当にバカバカしくていい。
大田原警部役の高橋克実と、秘書役の水川あさみのボケっぷりも楽しいし、推理の再現シーンも本当におマヌケで楽しい。

3話目になって、キャラの持ち味も明確になって来て、シゲ演じる茂木刑事の暑苦しさが、たまらなく役にハマってきました。
彼の素の暑苦しさと、役回りの暑苦しさがシンクロして面白くって仕方がない。
見事なキャスティングだと思います。
第3話に出てきた、鼻につく女高生に「おっさん、顔濃すぎ〜。」と言われた瞬間の、シゲ もとい、茂木刑事があっけにとられ、切れまくる表情がツボにハマりました。

子残念さん(シゲファン)達からは「シゲちゃん、顔濃くないよ〜〜」と悲鳴とブーイングの嵐だった様です。。
確かに、シゲくんの顔は濃くない、でも、彼の性格は暑くて濃いと思います。
その意味で、今までで最高のハマり役じゃないかなあ。

TVドラマは基本的に、見ないのだけど、女房に引きずられる形でナックスメンバーの出演作は時々見ています。
そんな中、シゲくん出演のドラマでは、TV版『1リットルの涙』の教師役、『サプリ』のオカマっぽい社員役等よりもはるかに生き生きしていていい。
ようやく彼の本領発揮かなという感じです。
しばらくは土曜の深夜が楽しめそうです。

ちなみに我が家のどうバカ兼子虎2号の娘は出演陣のボケっぷりに突っ込みまくってました。


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